優しい光に包まれて
君にもう会えないと分かった夜
涙が止まらなかった
でも 約束を覚えてくれていたんだね
小さな君が会いに来てくれた
驚いたよ
声を出そうとしたけれど
体が固まって動けないから
心の中で話しかけた
“ありがとう”
“よくここが分かったね”
思わず君を抱き締めた
“抱っこしてもらいに来たよ”
“ボクも会いたかったんだ”
そう言っているみたいだった
“遠くまでよく来たね”
“さぁ おうちへ帰るんだよ”
しばらくして 君は
す~っと消えていなくなった
とても不思議な出来事だった
翌日 眠れないまま泣き腫らした顔で
君のもとへ向かった
静かに眠るお人形のような可愛らしい君に
菊の花は似合わないと思った
だから 小さな白いお花を持って行った
真っ白なかけらを 皆でかわりばんこに
陶器の入れ物に入れた
たくさんの絵を描いてきたけれど
わたしは あんなに綺麗な“白”を
今まで見たことがなかった
君の声を聞くことはできなかったけれど
かけがえのないものを
教えてもらった気がするんだ
あれから ずいぶんと長い月日が流れた
思い出すと やっぱり涙が溢れるよ
でも なぜかあたたかい気持ちになる
優しい光に包まれた君が
笑顔で見守ってくれて
いるような気がして…
木漏れ日の中で君のことを想うよ
今日も笑顔をありがとう
〈kaorin〉