人生の道程
「99歳9ヵ月、ようやくたどり着きました」
インフォメーションに現れた彼はそう言うと、雨で濡れないようにと大きなビニール袋に入れたリュックの中から診察カードと予約票を取り出し、笑顔で「案内していただけますか?」と続けた。受付の場所まで一緒に歩く道中「先に逝くなよ」と言っていた奥様は数ヶ月前にお亡くなりになったと話されていた。「朝目が覚めるとまだ生きてるんですよ。自分が生きているのが不思議なくらい」と。
もうすぐ100歳。気軽に話しかけて下さるけれど、長い人生の道程をおもうと、わたしなんてまだまだひよっこだなぁ…なんて恐縮してしまった。ひとりでバスに乗って来たと言うその方は、とても信じられないくらいに足腰もしっかりされている。子どもの頃イメージしていたお年寄りとはだいぶ違っていて、本当に驚く。
わたしは何歳まで生きるのだろうか。そんなことは誰にもわからない。けれど、もしもこの先たとえひとりになったとしても、心穏やかに過ごすことができたなら、どんな人生であれ、それが全てだとおもう。一日一日を大切に。
明日も笑顔で…。
*kaorin*